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1万円賃上げしても5人辞職、"中小下請け"の実態 人手不足で歩留まり悪化、ヒヤリハットも増

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労務費転嫁の指針は出ているが、現実にはハードルが高い。

溶接工場で働く人のイメージ画像
(写真:PIXTA)

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賃上げラッシュは今年も続く。いったい何が変わったのか。
『週刊東洋経済』3月9日号の第2特集は「賃上げサバイバル」。物価高ばかりではない地殻変動が起こる日本の今をリポートする。
週刊東洋経済 2024年3/9号(シン・日立に学べ) [雑誌]
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製造業の事業所密度が全国1位で、約6000のものづくり企業が集まる東大阪市。2月中旬、その一角のとある町工場で、間もなく70代になる2代目社長は新聞を読みながらため息をついていた。

「最近は新聞もテレビのニュースも賃上げの話ばかりでプレッシャーがすごくてかなわん」。そして「経営者同士で会うときもあいさつ代わりにどうしようかと話している」と苦笑した。

机の上には数日前に40代の社員から見せられたという新聞記事の切り抜きもあった。労働組合の要求額1万5000円を上回る2万円のベースアップを回答した三井金属について報じた記事だ。

給料を上げるための元もない

50年以上前に父親が創業して以来、家電などに使われる金属製のボルト類を製造してきた。顧客は関西の大手電機メーカーたちだ。バブル崩壊やリーマンショックなどで納入先の多くの企業は過去30年にわたり業績が停滞。その余波を受け、赤字を幾度も経験した。それでも何とか数十人の従業員を路頭に迷わせることなく、事業規模も維持してきた。それがひそかな誇りでもある。

だが、それもいよいよ難しくなったと覚悟をし始めている。

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