審査員から見た「SAグルメコンテスト」の裏側 西イチグルメ九州地区大会で見た凄腕メニュー

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1つは、全体として地域の食材、しかも地元でもあまり知られていない、あるいは地元以外には流通しないような「隠れた名物」を使用したものが多いこと。

もう1つは、愛知県の「ひつまぶし」のように「まずそのまま食し、次に薬味をかけて味変し、最後に出汁をかけて……」というように段取りを重視するメニューがいくつもあったことである。

また、豚や鶏の飼育が盛んな九州を反映して、8番の茶漬け丼以外は「肉」がメイン食材だったことも目立った特徴であった。

途中20分だけ休憩時間が設けられていたが、ほとんどトイレタイム程度しかなく、6食目を終えたころには満腹に近い状態となり、残りの2品目の審査はかなりしんどく、また地元福岡の民放4局とケーブルテレビのカメラがまわっている前でメニューを頬張るのも、筆者にとっては苦行であった。

九州地区大会にエントリーした8つのメニュー(筆者撮影)
九州地区大会にエントリーした8つのメニュー(筆者撮影)

審査のほうは、すべてのメニューの実食後に結果が集計され、最終的な点数が審査員の前に提示。異論がないことを確認ののち、閉会式で結果が発表された。自分がつけた点数と、全体の順位がほぼ同じだったことに胸をなでおろしたのは、ここだけの話である。

なお、各メニューは、見た目なども審査対象のため、完全なフルサイズで提供される。当然限られた時間で全部は完食できず、かなりの量を残すことになる。一度手を付けているので、他の人が食べることもできない。

審査の後、フードロスが気になると主催者に伝えたところ、「次回以降は展示用メニューを審査員の皆様で分けて実食審査いただくなど、フードロスが少なくなるよう改善に努めてまいります」との返答を得た。

コンテストだからといって、食べ物を無駄にすることは許されない。こうした方向に進めばと思う。

グランプリ/準グランプリ料理は3月の本選へ

グランプリは、(8)「天然穴子のフライと天然真鯛の茶漬け丼」、準グランプリは(5)「とろっカツ元気丼」に決定した。

九州地区大会でグランプリに輝いた「天然穴子と天然真鯛の茶漬け丼」(筆者撮影)
九州地区大会でグランプリに輝いた「天然穴子のフライと天然真鯛の茶漬け丼」(筆者撮影)
こちらが準グランプリとなった「とろっカツ元気丼」(筆者撮影)
こちらが準グランプリとなった「とろっカツ元気丼」(筆者撮影)

(8)の茶漬け丼は、SAからほど近い玄海の天然素材を前面に出し穴子をフライにして丼からはみ出させるなど、ご当地感や見た目のインパクトが高得点で、もちろん味も素晴らしかった。

(5)のとろっカツ元気丼は、黒い大ぶりの器に緑のバリエーションが映えていて、カツにかかっているとろろも緑色がかっている。聞けば、地元の八女茶をいれているそうで、そうした細かいこだわりも高評価につながった。

この2つの丼は、九州地区大会の代表として、3月に大阪で開かれる本選大会で関西地区の2メニュー、中国地区の2メニュー、四国地区の1メニュー、そして全メニューの中から利用者の投票がもっとも多かったメニューの計8メニューとともに、さらに料理の専門家から審査を受ける。

そして、「西イチグルメ」のグランプリ/準グランプリが決定するのだ。

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