羽田衝突事故、鉄道・バス各社「臨時運転」の舞台裏 運転士手配から関係各所の連絡まで連携プレー

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そんな中、JR東海がネット上でこんな発信をした。

混雑が予測されるため、臨時「のぞみ号」を運転します――。

発車時刻を確認すると、最終の「のぞみ」が出発した後の東京駅21時42分発と、新大阪駅21時50分発だという。両列車ともグリーン車以外の普通車は全車自由席のようだ。

東海道新幹線が、終電後に臨時列車を走らせることは非常に珍しく、しかも日付を超えて運行することは、過去にもあまり記憶にない。東京駅からの各線の終電も、調整が必要になるだろう。

この日は東海道新幹線ばかりか、JR東日本の成田線の終電繰り下げや、京成電鉄の深夜25時00分発のアクセス特急上野行きなどの臨時列車も追加運転され、鉄道駅のない茨城空港では、関東鉄道バスを中心に7便(約310人)の輸送が行われた。

中部国際空港の対応でも、名鉄で臨時列車が運行され、そのほかの鉄道でも都市間輸送や空港アクセスを担う鉄道やバスが、臨時や増便対応する勇姿が見られた。

実際どのような要請で、臨時輸送が行われたのか。深夜の日本各地で行われたダイバートに伴う緊急対応について、臨時対応を迅速に行った事業者の中から、数社の交通事業者を取材した。

空港アクセスとしての意識の高さ

まずは京成電鉄。同社は夜中の25時00分に、成田空港発の臨時アクセス特急を運行した。この対応について、京成電鉄・経営統括部の広報・CSR担当にインタビューをすると、「当社から空港を管理・運営するNAA(成田国際空港株式会社)に申し出た」という。「その後の対応はNAAと行った」。

京成電鉄のアクセス特急(筆者撮影)

乗務員の手配については、「異常時対応用に予備の乗務員を配置している。今回はその人員を手配した」と話す。予備乗務員の手配が迅速に行われたことで、可能になった。

夜中の25時00分発とした理由は、「成田空港の発着陸が24時までのため、弊社で設定できる最大限の時間を設定した」とのことだった。

もちろん、保守・メンテナンス時間も調整し、同社として最大級の対応を行った、非常にまれなケースだったのであろう。それにしても、緊急事態に京成電鉄のほうから申し出をしたという事実は、「空港アクセスとしての意識の高さ」がにじみ出る。

茨城空港から臨時バスを運行した関東鉄道については、「茨城空港へダイバート中のスカイマーク社から連絡があり、急遽運転士の確保に動き、乗務終了後の運転士に声をかけて、手配を行った」と話した。また、「利用されたお客様やX(旧ツイッター)などから大きな反響があり、弊社公式サイトでも嬉しいお言葉をいただいて恐縮しています」とのこと。

そして、「当社のグループ会社である関鉄グリーンバスとの連携や、地元のほかのバス会社にもスカイマークから連絡があり、みんなで協力して、できたことです」と話した。

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