インドネシア新型電車「中国受注」でも日本に商機 国産車は日本製機器採用、大統領選も影響?

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契約金額は約3.83兆ルピア(約361億9870万円)で、既に設計が始まっており、サプライヤー選定も完了している。2023年11月末には、東洋電機がこのINKA製新型車両向け192両に対しての電機品一式(主制御装置・主電動機・補助電源装置・歯車装置・集電装置)を約55億円で受注したと発表した。

契約式には、日本インドネシア協会(JAPINDA)会長である福田康夫元首相も出席した。当時、別件で日本入りしていたインドネシア日本友好協会(PPIJ)会長、ラフマット・ゴーベル国会副議長も出席する予定だったが、スケジュールの都合か参加は見合わせになってしまった。しかし、日本とインドネシア友好の架け橋といえる存在の大物政治家が、ついに動いたわけだ。

また、電機品以外にもブレーキ関係などを同時期に日系企業が受注している。車体に関しては、ステンレス溶接などの技術支援をJ-TRECが実施する予定である。ただ、残念なのは、価格、納期の折り合いが付かず、車輪や輪軸などは中国製になってしまったことだ。とは言え、限りなく日本の車両に近い仕様になることは間違いない。2025年末までの導入に向けて、順調にプロジェクトが進んでいくことを願いたい。

車両更新は日本企業にチャンス

問題なのは③(既存車両改修)だ。政府は既存経年車の改修に対して、約2.23兆ルピア(約210億9300万円)を割り当てているが、課題は山積で、未だに業者選定すらできていない。当初は東京メトロ6000系などチョッパ制御の形式8両編成19本をVVVFインバーター制御に更新し、延命を図る予定であったが、経年劣化で車体(台枠)の反りが十分でない車両が多数存在することがわかった。

KCI 元メトロ6000 チョッパ車
元東京メトロ6000系のチョッパ制御車(筆者撮影)

ここに新たな機器を搭載し、乗車率100%をゆうに超える走行環境を考慮した場合、車体限界に抵触する恐れがある。6000系だけで数をまかなえず、他形式も含めたリニューアルが必要となった。

さらにKCI側は、混雑緩和のために12両編成化が必須と主張した。東京メトロの車両は国内でもリニューアルの実績があり、日本側も改修に興味を示していたが、他形式にまたがること、さらには国内にはない12両編成化ということもあり、いったん日本勢は引くことになった。

選定の結果、経年が浅い一方で、スペアパーツの枯渇により長らく休車になっていた東京メトロ05系がリニューアル第1号編成として選定され、まずは、12両編成2本が組成された。これに対しては、韓国の宇進が受注に意欲を示しており、現車調査を行った。しかし、日本側の協力なしに図面は手に入らず、さらに運転台のTIS(車両制御情報管理装置)改修がネックとなり、自社でのリニューアルは困難との見解を示した。

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