東電、予定調和の茶番、誰が為の株主総会か
野次、怒号、ため息、絶叫…。6月28日に東京都内のホテルで開催された東京電力の株主総会。会場周辺には数百人の警察官に加えて、原発反対団体や各国のメディアが押し寄せ開催前から物々しい雰囲気に包まれていた。
開場の8時50分前には株主が続々と来場、一時は周辺に長い行列ができるほど。来場株主数は28日午後4時半時点で9309人と史上最多だった昨年(3342人)を大きく上回った。当初用意していた会場では足りず、5つの会場を設けたが、それでも収まりきらないのか、廊下にまで人があふれかえる。
6時間以上に渡った総会は始めから終わりまで、経営陣と株主の意思疎通が全く図れない「茶番」だった。冒頭、議長を務めた勝俣恒久会長の開会宣言に続き、清水正孝前社長(総会後に西沢俊夫常務が新社長に就任)が事業報告。時おり激しい怒号が飛び交う中でも気にする様子もなく、淡々と議事を進めていく。続く事前によせられた株主質問は190問にも及んだが、こちらも30分程度で担当役員が次々と回答。各々が謝罪の言葉を述べながら回答するものの、満足のいく回答が得られない株主が声を荒らげながら抗議する場面も目立った。
役員報酬に対する怒り爆発
その後の株主質問ではさらに経営陣と株主のすれ違いが続く。多くの株主から「報酬50%カットではなく全額カット」「過去の報酬もすべて返却すべき」「企業年金を辞退すべき」「個人資産を売却して、福島の賠償に充てるべき」との意見や質問が相次いだが、会社側は「年金も合理化案の中の検討課題だが、法的な規制がある」「報酬の返却については個人の寄付ということになり、プライベートな問題」と当たり障りのない答えに終始した。