団地の駅というから、大きな団地群がずらりと並んでいるものとばかり思ったら、駅前風景は意外とそうでもない。西口の駅前広場に出ると、まるで鉄道模型のジオラマにありそうな商店長屋と駅前ビル。東口にも小さなスナックや飲み屋が集まっている一角がある。
きっと、住宅地が生まれたころに、こうした駅前のプチ歓楽街もできたのだろう。仕事終わり、都心のターミナル近くで酒を飲むのではなく、自宅の最寄り駅まで戻ってから一杯ひっかけて。帰りが遅くなったら子どもが「お母さん怒ってるよ!」なんて迎えに来たりして。そんな昭和(が本当にそうだったのかはわかりませんが)っぽい駅前風景が、まだまだ残っているのであった。
一ノ割駅の周辺には…
武里駅のお隣は、一ノ割駅だ。ホームの脇には踏切があって、さらに踏切の脇には地下通路。長い時間遮断機が下りていても通れるように設けられたものだろう。間に踏切を挟んで東西に商店街が延びているが、基本的には何の変哲もない住宅地ばかりの駅である。
……と、すぐに一ノ割駅を後にしようとしたら、「この駅は、ぼくらにとっては大勝軒ですよ!」と言わんばかりに割って入ってきたのが春日部駅管区北春日部駅長の早川浩さん。一ノ割駅は早川さんにとっては管轄外なのだが、ラーメン店の大勝軒にはよく足を運んでいるようだ。
「線路の脇にあって行列ができているのが見えるんですよ。有名なお店だから遠くから来ている方もいるみたいで。一ノ割駅のお客さま、大勝軒のおかげでちょっと増えているかもしれませんね」(早川駅長)
ならばさっそく足を運んで……と思ったら、シャッターが下りていた。たまさか定休日だったのだろう。また、一ノ割駅を訪れる理由ができた。
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