FAXだけではない「昭和すぎる学校」4つの損、文科省が道半ばの校務DXを支援 「校務DX化チェックリスト自己点検結果」を分析

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だが、今や多くの学校は時代遅れと見られるようになってきた。洋式化されたトイレやエアコンの整備が遅れたこともそうだし、今回注目しているICTの整備・活用もその象徴の1つだ。

こうした投資をさぼってきた教育行政(文科省や教育委員会)の責任は重い。だが、昨今は国が補助などでずいぶんと支援しているのに、教委側が対応できていないところも多いように見える。あるいは、無料もしくはそれほど高価ではない料金で利用できるクラウドサービスなども増えてきているのに、導入していない。

さまざまな背景・理由があるとは思うが、1つは、教職員や教育行政職員が忙しすぎて、目の前のことをこなす日々になってしまっていることが大きい、と私はみている。

妹尾昌俊(せのお・まさとし)
教育研究家、一般社団法人ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)

小学校の学級担任は、日中の多くを授業や給食指導などで出ずっぱりで、職員室の自分のデスクにゆっくりいられるわけではない。こういう状況では、メールでのやりとりよりは、電話のほうが早いという意識になるのは自然なことだろう。教育委員会から来るジャマくさい書類があったり、非効率な事務手続きが残っていたりしても、見直す手間、労力をかける気になりにくい。

加えて、校務と呼ばれる事務作業や手続きについては、1つの学校だけで見直せるものは少なく、多くは都道府県ないし市区町村の教育委員会が定めるルールや手続き、帳票の見直しが必要である。教職員が非効率さなどの問題に気づいても、教育委員会に伝わっていないケースも少なくないようだし(文句を言わずこなす真面目な人が多いのかもしれない)、伝わったとしても、教委の側で動いてくれなければならない。

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