台湾・国防大学の教授が中国と密通していた! 2024年1月総統選とともに日米も捜査に注目
蔡英文総統は2020年の2期目の就任演説で「軍と民間が一体となった国防戦略産業の発展」を掲げたが、同センターはそれを体現するような役割を担い、台湾軍の現在と未来における中心的な立場だったと言える。
また、軍の高等教育機関としての信頼も大きく損ねたとして、関係者の責任も問われ始めているそうだ。
当局はすでに専門チームを組んで捜査を開始しているが慎重に進められている。おそらく軍への影響や総統選への考慮もあってだろう。続報が少ない状況だ。
台湾ではこれまでも、退役軍人を中心に中国への機密漏洩が問題になってきた。しかし、それらはあくまでも隠密裏に行われており、今回のように公的機関が堂々と、しかも長期にわたって犯行を繰り返してきたことは珍しい。
実は先の事件が明るみになる少し前の2023年12月4日。台湾を代表する台北市立女子高級中学(高等学校に相当)の教師が立法院の記者会見で、現在の高校以下の指導要領に相当する「108課綱」を批判したのだ。
漢籍教育めぐり世代論争も
近年の脱中国教育によって大量の漢文が廃止され、生徒は中国への親近感や道徳観を失ったと語った。
また、中国明代末期から清代初期の儒学者である顧炎武の「廉恥」を具体例に、教育現場で「廉恥」を教えないことで「生徒は士大夫(高級官僚)の無恥は国の恥であることを考えなくなった」と、有名な一文を用いて現在の教育部(文部科学省に相当)や政権を糾弾した。
同校は現在、台湾内で北一女と呼ばれ総統府のすぐそばに位置する。文武両道の下、教員生徒ともにつねに台湾トップの位置付けにあり、北一女の教師が公に発した言葉は、瞬く間に世間の注目を集めたのだった。
総統選を控えたこの時期に放たれた政治色の濃い意見に、中国統一を志向する中国国民党(国民党)などの政治家がすぐに同調したのは言うまでもない。
しかしこの後、「廉恥」どころか国語の9割を、道徳性が高い内容の漢文を学んだ世代のはずの葛教授の大犯罪が明らかになったのだ。皮肉にも「廉恥」や漢文を学んだからといって、品行方正に育たないことが証明されてしまったのである。
2024年1月13日に台湾総統選挙が行われるが、国際政治における台湾の行方が気になるのはもちろんの事。果たして台湾軍が日本やアメリカ、西側諸国にとって信頼に足る軍隊なのか。捜査の進展に各国が注目しているだろう。
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