中国への技術流出が問題となってきた台湾の半導体産業だが、もともと台湾と中国の間では人材の深いつながりがあった。

台湾の頼清徳総統は、3月13日に行った国家安全ハイレベル会議後の記者会見で、中国によるスパイ活動や浸透工作が激しさを増していると訴え、17項目の対応措置を発表した。会見では、中国の脅威について説明するなかで「中国は手段を選ばず台湾の人材を獲得し、台湾から中核技術を窃取して台湾の経済安全保障に影響を及ぼしている」とも述べた。
台湾経済の「虎の子」である半導体産業は、中国による技術窃取に長く悩まされてきた。中国への技術流出は、台湾の産業競争力の低下をもたらすだけでなく、アメリカの台湾に対する信頼を損なう可能性がある。
中国半導体産業に深くかかわった台湾人脈
半導体が「戦略物資」としての重要性を増すなか、民進党政権は蔡英文総統の時期から、中国による技術窃取への対応策を強化してきた。しかし、法改正や取り締まりの強化による抑止には限界がある。中国側の手法が進化していることもあり、実態はいたちごっこの様相を呈している。その背後には、中国と台湾の半導体人材の長い結びつきの歴史がある。
中国では、2000年代初頭の政府の半導体産業政策の転換を機に、SMIC(中芯国際集成電路製造)、和艦科技、上海宏力半導体製造(2012年に華虹半導体と合併)などのファウンドリー(半導体受託製造業)が次々に成立した。これらの企業の設立には、台湾人企業家、技術者が強く関与した。
現在、アメリカによる封じ込めの標的となっているSMICは、1997年に台湾で世大積体電路を設立した張汝京氏によって2000年に創業された。同社では、2021年頃まで、「台湾閥」と呼ばれる台湾出身の技術者たちが経営幹部として活躍していた。上海宏力は、台湾プラスチックグループの創業者・王永慶の息子と江沢民の息子が共同で設立した。
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