「甘えとの違いは?」今さら聞けない合理的配慮、3つの疑問と学校での進め方 2024年4月に私立学校や企業においても義務化

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もし本人・保護者が学校に求める合理的配慮が学校にとって難しい場合、学校はその理由を説明し、共にバリアを解消するための代替案を考える必要があります。

合理的配慮は障害のある人にとっての権利です。学校のみでなく、受験時、就職時などありとあらゆる場面で合理的配慮の意思表明をする権利があります。本人自身が合理的配慮についてその権利が自分にはあること、自分が必要な合理的配慮の意思表明の方法を知る機会をつくることもとても大切です。

子どもたちは将来、障害のある人たちと共に働く

3つ目のよくある質問が、こちらです。

「3:合理的配慮をしてほかの子どもが『ずるい』と言ったらどうするのか?」

 

ここまで説明してきたように、合理的配慮はずるいものではありません。マジョリティーを中心につくられているがゆえに生じているバリアを解消するものです。むしろマジョリティーの人たちにとって今は「ずるい環境」を、マイノリティーの人にとっても過ごしやすいように変えていくためのものです。

もし子どもたちが「ずるい」と言うのであれば、合理的配慮を受けている本人や保護者と相談したうえで、合理的配慮の概念を子どもたちに説明することをおすすめしています。いかに今の社会がマジョリティーに偏ったものになっているか、その偏りを解消していく必要があるかなどを話し合ってみましょう。

障害者雇用率は年々増加しており、子どもたちは将来、確実に障害のある人と共に働くでしょうし、顧客に障害のある人が含まれるサービスの提供者になります。民間事業者も義務付けられる合理的配慮について知っておくことは、子どもたちにとって必要なことではないでしょうか。

子どもたちが学校で学ぶ大切なことの1つは、「多様な人とどう共存するか」です。合理的配慮は、マイノリティーの人も含め異なる人たちが共存するためにどうしたらよいか、環境をどう変えたらよいか、自分がどう変わったらよいか、どう対話をしたらよいかを教えてくれます。

ここまで、合理的配慮の概念や学校で合理的配慮を推進するためのポイントをお伝えしてきましたが、これらはすべて先生が1人でできることではありません。学校組織として、合理的配慮の理解を進め、基礎的環境整備の推進や、合理的配慮のフローを仕組み化することが重要です。

誰もが過ごしやすい学校は、誰もが望んでいるものではないでしょうか。合理的配慮の推進を通じて学校におけるバリアを明らかにし、できるところから一緒に変えていきましょう。

(写真:野口氏提供)

執筆:野口晃菜
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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