中国CATL、EV向け「スケボー型シャシー」を実用化 2024年夏にも量産開始、EVの開発手法に革新

✎ 1〜 ✎ 117 ✎ 118 ✎ 119 ✎ 最新
拡大
縮小

スケボー型シャシーの開発では、標準化された(決まった大きさの)シャシー内に、いかに大容量の電池を組み込むかが課題だった。現在主流の車載電池は、多数の電池セルをひとまとめにした電池モジュールを基本とし、複数の電池モジュールと冷却機構、制御システムなどを組み合わせた電池パックに仕立ててシャシーに搭載している。

この方式はスペース効率が低く、スケボー型シャシーではEVの航続距離を伸ばすのが難しい。そこでCATLは、「セル・トゥ・シャシー(CTC)」と呼ばれる最新技術を採用することで問題を克服した。CTCは電池モジュールと電池パックを廃止し、電池セルをシャシーに直接組み込む方式のことで、限られたスペースにより多くの電池セルを詰め込める。

第1号モデルは哪吒汽車から

CATLの呉氏によれば、2024年7~9月期に量産を始めるスケボー型シャシーを最初に採用するのは、中国の新興EVメーカーの哪吒汽車(ネタ)になる可能性が高い。CATLと哪吒汽車は2023年1月、スケボー型シャシー(の応用)に関する提携に合意済みで、第1号モデルは2024年末に発売される見込みだ。

CATL製のスケボー型シャシーを採用した第1号モデルは、新興EVメーカーの哪吒汽車から発売される見込みだ。写真は2023年1月の両社の提携調印式(CATLのウェブサイトより)

とはいえ、中国の自動車業界内にはスケボー型シャシーに対して否定的な見方も少なくない。財新記者の取材に応じた乗用車メーカーの技術責任者からは、次のような懸念の声が聞かれた。

本記事は「財新」の提供記事です

「車体の上部と下部を分離した設計では、クルマの衝突安全性の確保が構造的に難しくなる。また、電池をシャシー内部に集中配置すると、電池の(交換や修理などの)メンテナンスの難度が上がってしまう」

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月30日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT