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国家公務員「男性育休取得率72%」で起きた変化 人事院・川本裕子総裁に聞く(後編)

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川本裕子(かわもと・ゆうこ)人事院総裁。東京大学を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。英オックスフォード大学修士(開発経済学)修了。1988年マッキンゼー東京支社に入社。パリ勤務を経て、2004年早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授、2016年早稲田大学大学院ビジネススクール教授。国家公安委員会委員、金融審議会委員などの政府委員や国内外の企業の社外役員を歴任。2021年から現職。(撮影:梅谷秀司)

特集「ゴールディン教授ノーベル経済学賞の意味」の他の記事を読む

12月10日、今年のノーベル経済学賞が米ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授に授与された。その受賞を機に、日本でも「男女賃金格差」や「労働市場におけるジェンダー格差」に改めて注目が集まっている。
日本で長時間労働、柔軟性に欠ける働き方の代表格と見られてきた職業の1つに国家公務員がある。「働き方改革」が進められる中で、現在の国家公務員の働き方はどうなっているのか。そして今後どうなるのか。人事院総裁の川本裕子氏に聞いた。
(前編:「『貪欲な仕事』国家公務員の働き方は変わるのか」はこちら

まずは生産性が問われるべきだ

――今は柔軟な働き方の重要性が注目される一方、長時間労働は望ましくないものとされています。ただ、国際的な競争の中で成果を上げるためにある程度の期間、長時間のハードワークが求められる職業・職種もあります。長時間労働の是正は必要ですが、それと成果がぶつかる可能性についてはどう捉えていますか。

長時間労働という前に生産性、つまり投入した時間に対してどれだけのアウトプットを得られているかが最初に問われるべきだと思います。

日本の場合は、生産性の問題が非常に長い間、課題として語られてきていますが、まず考えるべきは、本当に長時間労働に見合ったアウトプットが得られているのかどうかです。

――コロナ禍を機にテレワークが急速に普及しました。働く場所や時間を労働者自身が決められるのは大きなメリットです。川本さんは人事院総裁就任前からテレワークの重要性を訴えていましたが、国家公務員のテレワーク状況はどうなっていますか。

例えば企画立案といった業務を行う際のデスクワークなど、国家公務員にはオフィスに出勤しなくとも働ける業務も多いので、その部分ではテレワークが可能です。ただし、行政サービスの最前線となる窓口業務的な仕事を担う人たちにとってテレワークはどうしてもハードルが高い。

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