日本銀行の植田和男総裁と氷見野良三副総裁の発言を受けて、沈静化しつつあった早期のマイナス金利解除観測に再び火が付いた。市場関係者からは、日銀が18、19日に開く金融政策決定会合が政策変更の可能性が意識される「ライブ」な会合に変わったとの声も出ている。
氷見野副総裁の6日の講演を受けて、金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は7日、12月会合でのマイナス金利解除(0.1%の利上げ)の確率を一時40%強まで織り込んだ。
政策変更を巡る思惑
大和証券の川原竜馬シニアストラテジストと佐藤一哉ストラテジストは7日付のリポートで、氷見野副総裁の講演は比較的タカ派と受け止められ、市場は12月会合で政策変更がなされる可能性まで一部織り込み始めたようだと指摘。12月会合は「ライブなものへと変化した」と記した。
植田総裁は7日の国会答弁で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言。正副総裁発言を受けて政策変更を巡る思惑が強まり、長期金利は昨年12月以来となる10ベーシスポイント(bp)超の大幅上昇となり、同日行われた30年債入札は大きいほど不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)が過去最大となるなど不調に終わった。