正副総裁発言で日本銀行の12月会合は「ライブ」に 沈静化しつつあったマイナス金利解除観測が再浮上
植田総裁はその後、首相官邸で岸田文雄首相と会談。賃金が物価に波及するかどうかなどを点検していきたいと首相に伝えたと語った。
8月以来となる両者の会談を受けて、ドル・円はロンドン時間7日午前に一時1ドル=145円を割り込んだ。145円割れは9月1日以来。
レバレッジドファンドがドルをショート、日銀総裁と岸田首相会談受け
日銀は多角的レビューの一環として、過去25年間に実施してきた非伝統的金融政策に関する特別調査を行ったり、異次元緩和の効果と副作用を議論するワークショップを開催するなど、出口に向けた準備を進めている。市場関係者の間では、米国の利下げ前倒し観測の高まりがかえってマイナス金利解除を早める可能性が意識されている。
「良い出口は可能」
氷見野副総裁は6日の講演で、将来金融政策が出口を迎えた場合の家計や企業、金融機関への影響を詳しく論じた上で、「出口を良い結果につなげることは十分可能だろう」と結論づけた。岡三証券の長谷川直也債券シニアストラテジストは、家計全体で見れば金利上昇はプラスとの評価を丁寧に伝えることで「出口に向けた地ならしを行った」と受け止める。
米国では景気減速を受けて利下げ観測が強まっている。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、利下げが始まると複数回になる可能性が高く、日銀にとっては時間の経過とともにマイナス金利解除後の追加利上げのハードルが高くなっていくと指摘。このため、マイナス金利解除は早いタイミングでやっておきたいという方向に傾きやすく、「来年1月や3月の解除も十分あり得る」とみる。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長も「1月であれば米利上げも利下げもないので日銀にとってもやりやすいはずだ」と述べ、早ければ年明けにマイナス金利の解除があると予想している。
--取材協力:テソ由美、酒井大輔.
(第6段落で為替相場を更新します)
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著者:日高正裕
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