金融庁が「カルテル問題」で損保4社を行政処分へ 「立ち入り検査」は実施せず、再発防止を優先
一つは、業務停止にすると、契約者利益を損なう可能性が大きいことだ。大手4社が業界シェアの9割を握る寡占の状況にあって、仮に一定期間、共同保険の引き受けを停止させると、ほかに引き受ける損保が現れずに契約更改ができない企業が続出する可能性がある。
公取委の処分より前に業務改善命令を出す狙い
2つ目の理由は、カルテル行為が現時点では疑義にとどまっていること。東急グループ向けの共同保険をはじめとして、保険料などの事前調整行為がカルテルや談合にあたるか実際に判定するのは、金融庁ではなく独占禁止法を所管する公正取委員会だ。公取委が損保各社の営業担当者を呼び出し、ヒアリングを始めたのは11月に入ってからで、排除措置命令などの処分までには時間がかかる可能性がある。
12月以降、東急をはじめ複数の企業でカルテル行為の対象となった契約が更改時期を迎え、損保各社が年内から交渉に入る。そのこともあり、金融庁は早い段階で業務改善命令を出し、大手4社の再発防止の取り組みを加速させることを優先するべきとみているようだ。
折しも、損保大手4社は中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正問題への対応に目下追われている。カルテル問題についても早急な改善計画の立案を迫られることになり、試練の冬になりそうだ。
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