スカイマーク最大債権者が対抗案を提出 ANA支援の再生案に反対

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 6月1日、民事再生手続き中のスカイマークの最大債権者である米航空リース会社イントレピッド・アビエーションが独自の再生計画案を東京地方裁判所に提出したことが分かった。イントレピッドが東京地裁に提出した資料をロイターが独自入手した。現行案でのスポンサーであるANAホールディングス(HD)に反対し、ANA以外の航空会社を選定中という。都内で昨年11月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 1日 ロイター] - 民事再生手続き中のスカイマーク<SKALF.PK>の最大債権者である米航空リース会社イントレピッド・アビエーション<INTR.N>が独自の再生計画案を東京地方裁判所に提出したことが分かった。現行案でのスポンサーであるANAホールディングス(HD)<9202.T>に反対し、ANA以外の航空会社を選定中という。イントレピッドが東京地裁に提出した資料をロイターが独自入手した。

イントレピッドの独自案に対し、スカイマークは1日、スポンサーとなる航空会社が決まっていない同案は実現可能性が示されておらず、「遂行される見込みはまったく不明」と指摘。100万円を超える部分の弁済率は3%と現行案の5%よりも低い上、弁済の原資となる金額や拠出者も定まっておらず、内容が劣るとしてANA支援による現行案が債権者の「多数の同意を得られる」との見方を示した。

ANAHDの片野坂真哉社長も同日の定例会見で、ANAが「最善のスポンサー」であり、現行案が「最善のものであると確信している」と強調した。スカイマークは5年以内の再上場を目指すが、同社長は株式を「しっかり保有する」ことが再生につながるとして再上場後も出資を継続する可能性を示唆した。

支援内容としては共同運航や燃料・資材の共同調達、整備などを検討中。共同運航する路線はこれから調整するが、支援終了後も「メリットがあればしっかりと関係を維持していこうと思う」と述べた。ANAHDは同日、航空機整備事業を行う新会社の設立も発表。新会社の顧客として小型旅客機「MRJ」やアジア諸国の航空会社に加え、スカイマークも想定している。

一方、イントレピッド案でも、現行案でスカイマークの筆頭株主となる投資ファンドのインテグラルが資金支援者として盛り込まれている。ただ、インテグラルはすでにANAHD、日本政策投資銀行と三井住友銀行が出資する投資ファンドとの間ですでにスポンサー契約書を結んでしまっている。

同じ日に独自案を提出

再生計画案をめぐっては、スカイマークが5月29日に東京地裁に提出したが、大口債権者であるイントレピッドと欧州航空機製造大手のエアバス<AIR.PA>の両社がANA支援による現行案の提出延期を求めていた。イントレピッドは同じ日に独自案を提出していた。

関係筋によると、両社が現行案に待ったをかけた背景には、スカイマークの破綻でこうむった損失をANAとの商談で穴埋めするつもりだったが、その交渉が不調に終わったことがある。

再生計画案が2つ提出されたことで今後、東京地裁はスカイマークの監督委員の意見を踏まえた上で債権者集会で議論される案を決めるが、地裁の判断次第では2案とも債権者集会で議論される場合がある。

債権者集会では、債権総額の2分の1以上の同意と、債権額に応じた議決権の過半数の同意を同時に得なければならない。届出ベースの債権総額(約3089億円)のうち、イントレピッドは約1150億円強と最大。エアバスは約880億円強の債権があり、両社合わせて2000億円超と債権総額の2分の1を上回る。

ただ、届出債権額は債権者が主張する債権額であり、「2社ともに未確定の部分がかなり多い」(申立人代理人の中原健夫弁護士)。今後、債権が確定した部分は100%の議決権を与えられるが、債権の有無を争ったまま債権者集会を迎える場合は東京地裁で議決権を決定するため、必ずしも債権者が主張する金額ベースの議決権が与えられるとは限らない。 

(白木真紀 編集:吉瀬邦彦)

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