NGリストの発覚は、せっかくの信頼回復の機会を台無しにした。
『週刊東洋経済』11月11日号では「解体!ジャニーズ経済圏」を特集。タレント帝国の知られざる金庫の中身、不動産の保有実態、ジュリー氏が税金を払わないで済む離れワザ、新設会社に原盤権を移転する際の問題点についてお届けする。
人権尊重が建前どまり
中島 茂/弁護士
企業のコンプライアンス(法令順守と社会倫理)の観点からは、「法を超えた補償」をすべきか疑問だ。合理的な算定基準に基づいて公平に補償するのが、企業のあるべき姿だからだ。
防ごうと思えば防げたかなどの「過失相殺」を含めた事実認定をすべきだ。ほかのセクシュアルハラスメント事件と同様、ジャニーズ事件でも事実認定を細かくやるべきではないか。
海外に比べると、日本社会は人間の尊厳を踏みにじることへの感受性に乏しい。
アメリカのワインスタイン事件では加害者の経営する映画会社が破産。加害者自身は計39年の禁錮の実刑判決を受けた。一方、ジャニー氏の性加害は2003年に東京高裁で認定されていた。それでもなお、捜査機関は動かず、多くのマスコミは沈黙を守った。
未成年者にも尊厳がある。それなのに児童施設で虐待事件が絶えないのは、「弱い者いじめをしてはならない」というのが建前にとどまり、虐待根絶に社会全体で取り組んでいないからにほかならない。
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