日本PTA全国協議会・後藤会長「今のままではいけない」と改革に意欲示す 前会長はハラスメントなどを理由に電撃解職
今後は“やらされる”全国大会を可能な限り解消へ
──とくに全国大会については、運営に携わった保護者から「開催のためにあれだけ高額の費用と手間をかける必要があるのか」「開催するにしても、オンラインで十分なのではないか」などの声が聞こえてきます。
そういった感想を持たれる方々がいらっしゃるということは事実ですし、そのような声を違う形で聞く機会もあります。ただ、全国大会についてはいわゆる「効率」の部分だけにスポットが当たり、「あれは無駄だ、これは無駄だ」という議論はどんどん進みますが、効率化だけを目的にしてしまうと、内容の劣化につながりかねません。
全国大会は、日Pにとっていちばん事業費率が大きな看板事業であり、全国のPTA関係者に教育の最先端に触れていだたく大切な学びの機会と考えています。現状の全国大会をよりよいものにしていくためには、効率化という“改革”と“学び”の両輪で取り組んでいく必要があると思っています。
ここでいう“学び”とは、運営側である実行委員会が当事者意識を持ち、「そもそも何のための全国大会なのか」など、日Pや各P連と対話を重ねながら企画・運営を進めていくことです。これまでの全国大会は、各都道府県の実行委員会が“やらされる”側面が少なからず存在したのかもしれませんが、今後はそれを可能なかぎり解消し、企画・運営の“アクティブ・ラーニング化”を推進していきたいと考えています。

──全国大会には、何百ページもある分厚いマニュアルがあり、「マニュアルどおりに進めることを求められた」という声もあります。今後はこのような「手段の目的化」からの脱却を目指されているという認識でよろしいでしょうか。
来年の全国大会は神奈川県川崎市で開催予定ですが、テーマは「ウェルビーイング」で、当事者が主体的に対話を重ねながら準備が進められています。
これまでの全国大会は、開催期間2日間で、分科会は開催県(市)のあちこちにで開催していたのですが、川崎大会は開催期間2日、コロナ明けということもあり、両日とも同一会場で、すべての領域を全員で学ぶという新しいスタイルで開催します。リアルに集まることのよさを生かしながら、これまでにはない新しい形の全国大会になると思います。
今後は開催県・開催市の土地柄なども考慮しながら企画・運営を行い、運営方法についてはオンライン、またハイブリッドで開催するなども選択肢の1つとして出てくる可能性もあるでしょう。全国大会の内容を、広く一般会員に周知するための方策についての議論も始まりつつあります。
ちなみに、全国大会の登録料などは受益者負担が基本ですが、各協議会・連合会がまかなうケースもあります。私は岐阜県PTA連合会会長時代、岐阜県PTAの代表として全国大会に参加しました。開催地までの往復交通費は県P連から出してもらい、開催期間中の移動交通費、飲食代などはすべて自費でした。また、日Pに関わるようになり、「役員になると報酬をもらえる」と思われる方も少なくないことに気づきましたが、日Pの役員は、各校PTAと同様全員無報酬です。
ガバナンス強化のため財務のワーキンググループを発足
──2023年7月には、金田淳前会長が事務局員へのハラスメント行為などを理由に解職されました。9月には金田氏の解職をめぐり、金田前会長、後藤新会長が同日に会見されています。
金田前会長は、2022年日P会長に就任し2023年6月に再任されましたが、当会の事務局員へのハラスメントや代表理事としての不適切な言動を鑑み、7月19日の理事会において金田氏の会長解職を決議。前副会長であった私が新会長に就任しました。
ところが、決議に納得しない金田氏は、SNSなどさまざまな手段を用いて自身にとって都合のよい主張を展開し始めました。これまでの経緯に触れることなく自らの責任回避に終始した言動は誠に遺憾です。
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