――ガザ地区への侵攻を示唆しているイスラエルは10月13日に、ガザ地区北部の住民110万人に避難勧告を出しました。その時の状況は。
ガザには現地スタッフの同僚が2人残っている。いずれも「どうやって逃げろというのか」と混乱に陥っている。ひっきりなしに爆弾が落とされ、自宅アパートの周りでも建物が倒壊している状況で、取り乱した様子だった。
ガザは壁に囲まれており、「天井のない監獄」と呼ばれている。福岡市とほぼ同じ面積に220万人が住んでいて、人口密度は世界最高レベル。
避難所となる病院や学校は、すでに空爆を受けた死傷者や避難者でキャパオーバーの状態にある。
南部までの道でも空爆が起きているという情報もあるうえ、逃げたとしても、避難所の当てがなければ車中か、路上生活が長期化する。さらに、そこで生きていくための食料や、水を得られる保証もない。
パンを買うにも4時間待ち
――避難先や生活物資がないのですね。
ガザへの人や物の出入りは、イスラエルの検問の上で行われるのだが、9日にガザへの食料、燃料、水の供給をイスラエルが止めた。燃料がないので発電所が停止し、通常の通信が使えず、情報をいつでも入手できる状況ではない。
食料品もなく、パン屋では小麦のストックが1週間分ほどしかないと聞いている。パンを買うにも4時間待ち。物価も高騰しており、ガザ中部に向かう乗り合いタクシーは以前4シェケル(約160円)だったのが、今では40シェケル(約1600円)になっている。
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