財新記者の取材に応じたBMW関係者によれば、iX3を生産しているのは全世界の工場のなかで瀋陽工場だけだ。BMWがiX3の生産を中国に集約した背景には、(EVの製造に不可欠な)部品調達の優位性や収益性、瀋陽工場の生産余力、製造技術の高さなどがあるという。
エンジン車が主流だった時代には、外資系自動車メーカーのほとんどは中国で現地生産したクルマを中国市場だけで販売していた。外資系メーカーはエンジン、変速機、車台(プラットフォーム)というエンジン車の基幹ユニットの開発力で中国企業に勝っており、中国を完成車の輸出拠点にするメリットは小さかった。
部品調達で際立つ中国の優位
しかし自動車のEVシフトが本格化すると、クルマ作りの基幹ユニットは車載電池、モーター、電子制御装置などに変化した。それらの調達のしやすさ、コスト、納期などの観点から、完成車の輸出拠点としての中国の優位性が急速に高まったのだ。
BMWのミニに比べて一歩先行しているのが、ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループだ。同社は2019年、傘下の「スマート(Smart)」ブランドのグローバル事業を、中国の吉利控股集団(ジーリー)と折半出資で設立した合弁会社に移管。中国で生産したEV「スマート#1」を、2023年3月からヨーロッパ市場で販売している。
同じくドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン・グループ(VW)は、傘下のスペインのセアトが持つサブブランド「クプラ(CUPRA)」の新型EV「タバスカン」を中国で生産し、海外市場に輸出する計画だ。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は9月8日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら