1カ月で8割が読書好きに、AI選書サービス創業者が語る「読書離れ」解決の道 ヨンデミー代表・笹沼颯太「読める=学ぶ力」

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若者・子どもの読書離れが進んでいると言われて久しい。読書と学力との関連を指摘する声もあり、「令和5年度全国学力・学習状況調査」では、家にある本の冊数が少ない児童生徒は各教科の正答率が低い傾向が見られた。どうすれば、子どもは本を読むようになるのだろうか。オンラインの読書教育サービスを提供するYondemy(ヨンデミー)代表取締役の笹沼颯太氏に、子どもを読書好きにさせるポイントや日本の読書教育の課題について語ってもらった。

米国発の「読書家の時間」をオンラインでどう実現できるか?

「ヨンデミーオンライン」という月額定額制の読書教育サービスを提供するYondemy。同社のアプリを使い始めると、動画やゲームにばかり夢中で本を読んだことがなかったような子どもが、毎日自ら本を読むようになると、注目を集めている。

大きな特徴は、子どもの好みだけでなく読書レベルに合わせて選書を行う点にある。学校の推薦図書などは学年ベースで選書をするケースが多いが、同社は独自に分析した絵本や児童書のデータとAIの活用によって、個々の読書レベルに応じて本を薦める。

具体的には、AIの「ヨンデミー先生」というキャラクターが子どもの日々の選書をサポートするほか、チャットで本の楽しみ方や感想の書き方を毎日数分ずつレクチャー。子どもはヨンデミー先生と接するうちに読書に対するモチベーションが高まり、本を手に取るようになるという。

AIのヨンデミー先生が子どもをサポート
(写真:Yondemy提供)

さらに、読書に飽きない仕掛けも徹底。子どもに「伝説の読書家」を目指そうというストーリーでミッションを与えるなどゲーム性も取り入れ、習慣化を促す。全国の図書館のリアルタイム蔵書検索と連携しており、アプリから図書館の予約システムに飛んで予約できる点も便利だ。

オリジナルストーリーでゲーミフィケーションを強化。今年6月には第2章『伝説の読書家』をリリース
(写真:Yondemy提供)

「大人になっても読書し続ける子どもを育てたいのです。本が読めれば、どんな社会状況でもどんな仕事に就いても、自ら学んでステップアップできます。将来やりたいことを実現するためにも、子どものうちに読書習慣を身に付ける必要があると考えています」

そう語る代表取締役の笹沼颯太氏が同社を立ち上げたのは、コロナ禍の2020年、東京大学経済学部3年生の時のことだ。

Yondemy代表取締役の笹沼颯太氏

「家庭教師として小学生に国語を教えていたのですが、どの家庭でも同じことをよく聞かれました。『先生は幼い頃、どんな本を読んでいたのですか。どうして本が好きになったのですか』と。なぜそんな質問をするのかと聞くと、『うちの子は国語も算数の文章題も理解できない。理科や社会の教科書も読めない』と言うのです。テキストベースでの情報取得ができないために、どの教科も苦手だという子どもたちが多いことを知りました」

学校や塾に相談すれば、読む力を育てるには「本を読んでください」と指導され、お薦めの本を教えてはもらえる。しかし、そもそも本を手に取らない子どもに、どうやって本を読ませるのか。その仕組み自体がないという現状に笹沼氏は気づく。

「当時、私は英語多読の塾で読書指導をしていたこともあり、本の楽しみ方を伝える方法や英語力向上につなげるノウハウは持っていました。その経験を生かせば、本を読まない子どもにも読書習慣をつけることができるのではないかと考えました」

筑波大学附属駒場中学校・高等学校時代の恩師である澤田英輔氏(現・風越学園教諭)の影響も大きい。澤田氏は、米国の伝説的教師として知られるナンシー・アトウェル氏がつくり上げたリーディングワークショップ(読書家の時間)とライティングワークショップ(作家の時間)を先駆けて実践していた。

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