発達障害の増加で「児童精神科の初診までの待機」が長期化、医師不足も深刻 通常学級の11人に1人、特別支援学級の子も倍増
確かに発達障害をはじめ、子どものメンタルヘルスに注目が集まるようになり、自治体も発達障害に関する情報発信や支援体制の充実に積極的なところが増えている。だが、まだまだ足りていないということだろう。それが学校現場を混乱させることにつながっているという。他方、先生たちにできることはあるのだろうか。
「学校の先生は、学習や運動などを通じて子ども自身のやる気を高め、仲間と共に頑張らせることによって、健全な達成感とその情緒発達を促していく仕事だと私は考えています。自分も社会に参加できるという体験、自分が必要とされている体験が、学校という場ではないでしょうか。それはとても大事なことです。しかしながら、いったん不登校になった場合には、その子の心に今何が起こっていて、どのような状態にあるのか。そこを理解したうえで、押すべきなのか、引くべきなのかを考えてみてはどうでしょうか。不登校であっても学校に来れば何とかなりますよと言いますが、確かにそういう子もいるかもしれません。しかしながら、“不安”とは起きていない未来を考えている状態です。不安の強い子には登校してどうなるかわからないことがいちばん怖いわけです。子どもの不安の構造とは何か。発達障害と疑われる子どもなら指示の出し方を変えるなど、もっと方策を考えてもいいのではないでしょうか」
発達障害をはじめとした子どものメンタルヘルス治療の費用対効果は決して低くはない。大人と違って子どもは、成長することで変化をしていくからだ。その成長をポジティブに見据えて治療を行う必要があると宇佐美氏は指摘する。治療によって将来社会人として活躍できるようになれることを忘れてはならない。そのためにも地域の協力体制が必要だという。
「自治体でも児童精神科の充実に尽力しているところもあります。地域の協力がなければ、発達障害のある子どもたちが拠り所とする場所を築いていくことはできません。最後の砦としての役割を果たしていくためにも、連携体制づくりは必要だと考えています」
(文:國貞文隆、編集部 細川めぐみ、注記のない写真:Ushico / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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