小学生は9割が入学を機に学校復帰、「不登校からの受験」秘訣を塾講師が助言 環境を変えやすいのは「中学受験」と「大学受験」
「学習に取り組むことができるなら、通常の塾を選べばよいでしょう。問題は学ぶモチベーションや進学の意欲は高いけれど、不登校の期間が長く学力が追いついていない子どもたち。どこから手をつければよいのかわからないので、伴走者が必要です。そうした子どもたちを救う機関は残念ながら多くはないのですが、私たちのような個別指導塾や不登校専門の塾、家庭教師などが選択肢になると思います」
その際は、身元のしっかりした指導者を選ぶべきだと山田氏は強調する。山田氏は大学を卒業し、大手企業と家庭教師ビジネスを行う教育ベンチャー企業の勤務を経て、09年にココロミルを創業したが、家庭教師ビジネスの仕事をしているとき、学力の向上を左右するのは指導者の質だと思い至ったという。
「家庭教師の多くは大学生なので、学業生活や就活を優先します。その中で、大学生が本業を優先すると不登校の子は『先生に見捨てられた』と感じ、モチベーションを失ってしまうことがありました。そうした苦い経験から、責任をきちんと持てる者が継続して指導しなければいけないと思い、私の塾では講師全員を正社員として雇っています。学歴、名前、住所などをちゃんと公開しているかという点は重要。塾も個人も、指導者の身元について確認が取れるところを選んだほうがよいでしょう」
フリースクールや適応指導教室は、学習については受験指導というよりは学び直しの側面が強く、受験を考える子は有意義に過ごせないことも多いという。そのため山田氏は、「出席日数の獲得など何らかの目的やゴールを決めて行くなど、居場所の1つとして活用するのがよいのではないでしょうか」と話す。
長年、塾の経営者・講師として不登校の子どもたちに寄り添ってきた山田氏は、学校や保護者にこう呼びかける。
「学校の先生方には、キャリアや職業についてもっと勉強していただきたいと思います。どんな進路や選択肢があり、それを選べばどのような可能性が広がるのかといった社会的視点を持って不登校の子の進路指導に当たってほしいですね。また高校には、出席日数をどの程度加味するのかなど、不登校の子の受験に関する情報を公開してもっと透明化していただきたい。そうでなければ、高校受験で傷つく不登校の子がもっと増えてしまいます。私は、高校受験が中学受験のようにクリアでオープンになってくれることを望みます。また、保護者の方は焦らないこと。お子さんの状況に合った選択をしないと時間と費用の無駄になるので、費用対効果も含めた選択肢の知識を得て余裕を持ち、お子さんの自信や成功体験をつくってあげてほしいと思います」
(文:國貞文隆、注記のない写真:Mills/PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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