小学生は9割が入学を機に学校復帰、「不登校からの受験」秘訣を塾講師が助言 環境を変えやすいのは「中学受験」と「大学受験」

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小学生は不登校の期間が短く、学力を高めることが容易なので合格も目指しやすいそうだ。

「中高生では九九から教えなければならないこともあるなど、場合によっては何年もさかのぼって基礎から学び直す必要があります。しかし、小学生なら学習内容もまだ難しくないので遅れを取り戻しやすく、中高生より積み上げが少ないため学力も伸ばしやすい。保護者の働きかけも効果があるため受験が成功しやすいのです。実際、私の塾では、5年生の2月から準備して青山学院中等部に合格するなど短期間で成果を出す子も。昨年度は6年生の秋から受験勉強を始めて香蘭女学校に受かった子もいますね」

さらに、中学受験では、不登校がハンデにならないという。一部の学校を除き、合否は本番当日の試験のみで決まるからだ。

「例えば私どもの調査では、都内の学校では7割程度の私立中学は不登校でも合格および入学が可能だということがわかっています。しかも私立中学はケアが厚く、保健室登校やオンライン授業がOKなど柔軟な対応を期待できる学校も多いので、子どもに合った学校を選びやすいというメリットもあります」

調査書や出席日数を重視する「高校受験」は選択肢が限定的

山田氏が中学受験を勧めるのは、不登校期間が長くなるほど解決も難しくなると感じているからだ。

「高校生になって不登校になるケースは少なく、小中学生時代に学校に行けなくなる場合が多いのです。小学生の場合は、保護者の声がけで塾などの外部機関に通うことができるため、受験によって状況を変えられる可能性が高まるのですが、年齢が上がるほど保護者の働きかけが効かず、最初の面談にすら来られないことも多い。たとえ外部機関に通えたとしても、先ほどお話ししたように、本人の学力によっては学び直す量も多いため、学力を伸ばす難易度が上がります」

しかも高校受験では、調査書や出席日数が重視されるため、選べる学校が限定的だという。

「公立校だけでなく、私立も一部の高校を除いて調査書を見ます。偏差値が70近くあっても事前面接を求められることが少なくありません。その面接で精神的な疾患があるのかと聞く試験官もいます」

そのため、高等学校通信制課程(以下、通信制高校)や東京都のチャレンジスクールのような、作文と面接で受けられる学校が選択肢として挙がってくるが、この選択も本人の状態や相性を考える必要があるようだ。

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