小学生は9割が入学を機に学校復帰、「不登校からの受験」秘訣を塾講師が助言 環境を変えやすいのは「中学受験」と「大学受験」
「これは私の塾に来る子たちの特徴かもしれませんが、進学を目指す子は、自分を不登校のカテゴリーに入れられることを嫌います。フリースクールや適応指導教室のように不登校の子が集まる場は自分に合わなかったと言う子は多く、そういう子は通信制高校やチャレンジスクールなどの選択肢を望みません」

また、最近では動画やオンラインで完結する仕組みが楽だからと通信制高校を選ぶ不登校の中学生も多いが、「モチベーションと学力が備わっている子でないと、入学後の学力の向上と通学の継続は難しい」と山田氏は指摘する。
「通信制高校はここ30年で3倍に増えており、中学校の先生が不登校でない子にも通信制高校を勧めるケースが見受けられますが、『学校基本調査』(文部科学省)の2021年度間データによると、公立通信制高校からの大学進学率は約14%程度。私立は約24%で、有名大学の大学合格者数を公表している学校がありますが、母数の多さを考えれば合格率としてはよくない場合が多い。進学率に中退者数を含めず計算する学校もあり、進学実績はあまり当てになりません」
また、通信制高校は入りやすいが、その分、生徒の学力にはばらつきがあり、大学受験に向けた指導を期待するのは難しいという。
「対面授業もしっかり行い、熱心に指導を行う通信制高校は一部にありますが、質がよい学校が増えているとはいえないのが現状です。高卒資格の取得が目的ならばよいのですが、大学受験を目指すなら通信制を選ぶ価値はちゃんと考えたほうがいい。そのため選ぶ際は、教員免許保持者や正社員としての教師の在籍者数、生徒1人当たりの教師数などを確認しましょう。また、『何月までに手続きしないと枠が埋まる』などと、あおる学校は要注意です」
中高生以降の不登校は「高卒認定試験」がお勧め
このように不登校の子にとって高校受験はハードルが高いが、その先の大学受験は人生を変える大きなチャンスだと山田氏は言う。調査書が不要な一般入試なら、中学受験と同様に高得点を取れば合格できるからだ。ランクを問わなければ選べる学校は多く、入学後も勉強の内容や教授も選べるため本人の環境調整がしやすいことから、不登校になる確率が中高に比べ下がるという。就職の際も最終学歴が重視されるため、大学を出ればそれまでの不登校の履歴は問われない。そこで山田氏が大学進学への近道だと考えているのが、高等学校卒業程度認定試験(以下、高卒認定試験)だ。
「不登校の場合、今在籍している学校に戻そうとすると、本人と家庭に大きな負担がかかるケースが多い。今日は学校に行けるかなと期待して行けなかった場合、本人も周囲もショックでダメージが大きいのです。とくに地方は、不登校であることが周囲に知れ渡ると余計学校に行きづらくなってしまう。それなら大学進学を見据えて準備したほうがいい。文科省の2013年調査では高卒認定試験から大学への進学率は約25%。中高生以降で不登校になった場合、勉強に向き合えるのであれば、高卒認定試験からの大学受験をお勧めします」
学ぶモチベーションがそれほど高くなければ、「就職を前提に専門学校などの選択肢がある」というが、大学進学を見据えて進路を考える場合、どのようなサポート機関を選べばよいのだろうか。