[Book Review 今週のラインナップ]
・『カリスマCEOから落ち武者になった男 カルロス・ゴーン事件の真相』
・『アメリカは内戦に向かうのか』
・『第一次世界大戦と日本参戦 揺らぐ日英同盟と日独の攻防(歴史文化ライブラリー 572)』
・『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』
評者・本誌コラムニスト 山田雄大
読者の関心は、カルロス・ゴーンが本当に犯罪者なのか、それとも陰謀の犠牲者なのか、ということだろう。だが、著者らは明確に言い切ることをしない。その代わり、膨大な取材と先達の資料を含めた詳細な調査に基づく「事実」を積み重ねていく。
ゴーン事件とは何だったのか 圧倒的な取材で描き出す事実
レバノン、ブラジル、フランスの国籍を持つ野心家が、いかにして日産自動車の救世主となったか。そして、日仏自動車大手のアライアンスを率いるカリスマCEOの実態と、どのように刑事被告人となり、さらに国際手配の逃亡者となったか──。
とりわけ、権力を握ったゴーンが傲慢になっていく過程を克明に描き出す。ゴーンや取り巻きが“そのままでは違法性の高い取引”を“合法(違法とまではいえない)”とするよう工夫をこらす様子も容赦なく暴き立てる。一方、ゴーンを裏切った日産幹部の保身も見逃さない。日本の司法の現状や問題点も冷静に描写している。
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