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見通しが「シンクロしない」先進国と新興国経済 英HSBC運用会社ストラテジストが語る「不均衡」

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欧米先進国の中央銀行が利下げに転じると予想される中、投資家が取るべきスタンスとは。

新興国市場は、先進国市場とはまったく異なる様相を呈している(写真:ロイター)
欧米が急速な金融引き締めに転じてからおよそ2年。マクロ経済の環境と投資は、どのように変化するのか。HSBCアセットマネジメントのグローバル・チーフ・ストラテジスト、ジョー・リトル氏に聞いた。

 

──今年後半にかけてのグローバルなマクロ経済環境をどう見通していますか。

欧米の先進国は2%インフレ目標、雇用最大化とバランスの取れた成長、金融システムの安定性維持および耐性強化という3つの安定を図るために苦慮している。政策立案者はトリレンマ(3つの政策を同時に実現することができない状態)に直面している。

そうした中で、アメリカとヨーロッパについては、景気後退の兆候を示す警戒信号が多数点灯している。

2021年後半から、欧米の中央銀行は1980年代以降で最も急速な金融引き締めサイクルに入っていたが、企業の高い利益率や家計の余剰貯蓄が景気後退入り遅らせてきた。しかし、今年第4四半期(10~12月)以降は、1990年代初頭のような景気後退に突入することが予想される。

一方でより高い成長率、より低いインフレ率、割安なバリュエーションの中で、新興国市場は先進国市場とはまったく異なる様相を呈している。これまで着目されなかったが、投資家は新興国市場に投資すべきだ。

複雑で多様な経済状況が、シンクロしない市場を生み出している。このような環境のもと、分散投資と相対的なアウトパフォームへの新たな機会が出現している。

FRBは年内利下げに踏み切ると予想

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