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「カネボウ」復活に必要だった家族主義の効力 各拠点を「飲み会」行脚、従業員の信頼を掴む

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クラシエの社員旅行のイメージイラスト
(イラスト:北沢夕芸)
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「カネボウ」と聞くと、ベテラン記者の間ではイメージが悪い。

いや、今の化粧品ブランドのことではない。誤解のないように説明しておくと、明治20年創業の名門カネボウは、15年前に消滅している。戦後、主力の繊維事業で成長すると、勢いに乗って事業を拡大、化粧品、食品、薬品、住宅という5事業を展開した。

「ペンタゴン(五角形)経営」

そう高らかに謳(うた)ったが、化粧品は順調に成長したものの、他事業では赤字が膨らんでいった。

そこで会社はどうしたか。損失を優良会社に付け替え、隠しまくったのだ。だが長年にわたる粉飾決算はついに隠しきれなくなり、債務超過に。優良事業は他社に売却されていった。花形の化粧品事業は花王に吸収されている。

それにしても、破綻劇はすさまじかった。なにせ、かつてのカネボウは民間企業最大の売上高を誇り、日本を代表する巨大企業だった。それがバラバラに砕け散ったのだ。

背徳の再建スキーム

2003年春、カネボウの経営危機が噂されると、記者だった私は配置転換を言い渡される。

「化粧品担当」。通常、この業界はマスコミ各社とも若い女性記者が担当する。黒いスーツ姿の中年男が担当する業界ではない。

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