中学受験の夏期講習、四谷大塚、早稲田アカデミー、日能研、SAPIXをどう選ぶ? 教育・受験指導専門家に聞く費用と活用方法
小学5年の夏期講習の算数は、授業の大半が新単元の学習になるというわけですね。
このように、SAPIXの小学4年・小学5年は夏期講習で新単元を扱うため、塾生であれば夏期講習を受講しない選択肢は基本的にありません。もし、お子さんが1学期の授業についていけていないようであれば、個別指導塾か家庭教師を併用して1学期の復習をするか、夏期講習を他塾で受講して、転塾の検討をすることをお勧めします。
夏期講習からの塾選び、塾生の夏期講習受講はわが子次第
夏休みが近づくと、夏期講習に関する悩みを相談される機会が多くなります。どの塾の夏期講習を受講するべきか、また、すでに塾生ではあるものの、夏期講習や夏のオプション講座を受講するべきかというご相談です。
どの塾の夏期講習を選ぶかは、お子さんの学力、目指す学校のレベル、そして保護者がどのくらいサポートをできるか、あるいは個別指導塾や家庭教師を追加することができるかによって変わってきます。
親身なフォローを期待しているのにSAPIXを選んだり、自分のペースで復習してじっくり学習を進めたいのに早稲田アカデミーを選んだりすると、うまくいかない可能性が大きいです。逆に、トップ校を目指していて学力上位クラス(αクラス)に入れる子ならSAPIXは頼れる塾になりますし、塾生たちと切磋琢磨しながらどんどん宿題に取り組むことにやりがいを感じられる子であれば、早稲田アカデミーで学力を伸ばせそうです。アットホームな雰囲気でじっくり学びたいという子には、本部系の日能研が向いていそうです。
すでに塾生の場合は、夏期講習・オプション講座を「受講しない」という選択肢も含めて検討するのがよいでしょう。「夏期講習を受講すれば成績が上がるだろう」というのは幻想です。夏期講習は1学期の内容の大半が頭に入っていることを前提に、日々の夏期講習の授業復習ができて成績アップにつながります。1学期の復習がほとんどできていないのであれば、弱点単元を自宅で学習するか、TOMASのような受験対策用の個別指導塾、あるいは家庭教師の力を借りることをお勧めします。
勉強は「学ぶ」というインプットと「解く」というアウトプットのバランスによって成果が変わります。夏期講習をはじめとする授業はインプットです。インプットされた知識を自分で確認し直して、実際に問題を解けるか試し、解けなかった場合はなぜ解けなかったのか、解くためにはどうすればよいか試行錯誤して考える時間は、授業と同じくらい大事な時間です。
授業を受けることに精いっぱいで、教わったことを消化したりアウトプットしたりする時間がなくなってしまうと、成績は伸び悩みます。1学期の授業の復習ができていないようであれば、この夏は夏期講習を選択せずに、自宅学習あるいは個別指導で復習をして2学期に備えることを検討してもよいかもしれません。さまざまな選択肢を視野に、お子さんの現状に合った夏を過ごしてください。
(注記のない写真:studio-sonic / PIXTA)
執筆:教育・受験指導専門家 西村 創
東洋経済education × ICT編集部
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