加賀市教育長・島谷千春、脱一斉型で「子ども主体の授業」じわじわ増やす仕掛け 「Be the Player」掲げる教育ビジョンの本意

市を挙げての教育改革が、地方創生につながる理由
2023年1月、石川県加賀市教育委員会は23年〜25年度の教育指針とし、スローガンを「Be the Player〜自分で考え 動く 生み出す そして社会を変える」と設定した。
「子どもの『今』も『未来』も幸せに well-beingを実現する学びの改革」として「学びを変える」「誰一人取り残さない」「未来は自分で創る」「地域と一緒に」の4つのプロジェクトを掲げ、それぞれ具体的な施策と実施スケジュールを示した。

教育施策というと「難解で理解しにくい」と思われがちな面もあるが、加賀市の学校教育ビジョンは、子どもたちの学びの情景を表すカラフルで温かみのあるイラスト、誰もが理解しやすい平易な言葉で構成されていること、地域の現状を十分踏まえた「子どもが主役」の教育改革を表す内容であることから、全国的に話題を呼んでいる。
「教育改革は、一時的に学校現場や子どもが変わることができたとしても、保護者や地域の方々が旧来型の教育観から脱し、改革の必要性を理解し変わることを求めない限り、その地域に改革を根付かせることは難しいと思っています。『学校、先生たち、応援しているよ! 頑張れ!』と、保護者や地域の方々に背中を押してもらえるようにするためには、私たちが目指す教育を、誰もが目で見て、読んでわかりやすいメッセージで届ける必要性を感じました」と、加賀市教育委員会教育長の島谷千春氏は言う。

加賀市教育委員会教育長
2005年文部科学省採用。大臣官房国際課専門官、横浜市教委教育政策推進課担当課長などを歴任。21年内閣府科学技術・イノベーション推進事務局では「Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」の策定に携わる。22年10月より現職
(写真:加賀市教育委員会提供)
学校教育ビジョンは市内全戸に配布。住民から「わかりやすいです」「ビジョンに掲げられているような学校になるよう協力します」などの声が多く聞かれ、公共施設や掲示板に自主的に掲出する動きも見られるという。