加賀市教育長・島谷千春、脱一斉型で「子ども主体の授業」じわじわ増やす仕掛け 「Be the Player」掲げる教育ビジョンの本意

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石川県加賀市教育委員会が2023年1月に発表し、スローガンとして“Be the Player”を掲げた学校教育ビジョンが話題を呼んでいる。「自分で考え 動く 生み出す そして社会を変える」子どもたちの育成に向け、従来の画一的な教育から一人ひとりの可能性を伸ばす教育へと転換する取り組みをスタートさせた。なぜ今、教育を変えるのか。どのように変えていくのか。文部科学省出身で22年10月より加賀市教育委員会教育長に就任した島谷千春氏、文部科学省広報戦略アドバイザーなどを経て23年4月より加賀市教育委員会事務局政策官に就任した寺西隆行氏に聞いた。

市を挙げての教育改革が、地方創生につながる理由

2023年1月、石川県加賀市教育委員会は23年〜25年度の教育指針とし、スローガンを「Be the Player〜自分で考え 動く 生み出す そして社会を変える」と設定した。

「子どもの『今』も『未来』も幸せに well-beingを実現する学びの改革」として「学びを変える」「誰一人取り残さない」「未来は自分で創る」「地域と一緒に」の4つのプロジェクトを掲げ、それぞれ具体的な施策と実施スケジュールを示した。

加賀市教育委員会は2023年〜25年度の教育指針とし、スローガンを「Be the Player〜自分で考え 動く 生み出す そして社会を変える」と設定。加賀市教育ビジョンの詳細はこちら

教育施策というと「難解で理解しにくい」と思われがちな面もあるが、加賀市の学校教育ビジョンは、子どもたちの学びの情景を表すカラフルで温かみのあるイラスト、誰もが理解しやすい平易な言葉で構成されていること、地域の現状を十分踏まえた「子どもが主役」の教育改革を表す内容であることから、全国的に話題を呼んでいる。

「教育改革は、一時的に学校現場や子どもが変わることができたとしても、保護者や地域の方々が旧来型の教育観から脱し、改革の必要性を理解し変わることを求めない限り、その地域に改革を根付かせることは難しいと思っています。『学校、先生たち、応援しているよ! 頑張れ!』と、保護者や地域の方々に背中を押してもらえるようにするためには、私たちが目指す教育を、誰もが目で見て、読んでわかりやすいメッセージで届ける必要性を感じました」と、加賀市教育委員会教育長の島谷千春氏は言う。

島谷千春(しまたに・ちはる)
加賀市教育委員会教育長
2005年文部科学省採用。大臣官房国際課専門官、横浜市教委教育政策推進課担当課長などを歴任。21年内閣府科学技術・イノベーション推進事務局では「Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」の策定に携わる。22年10月より現職
(写真:加賀市教育委員会提供)

学校教育ビジョンは市内全戸に配布。住民から「わかりやすいです」「ビジョンに掲げられているような学校になるよう協力します」などの声が多く聞かれ、公共施設や掲示板に自主的に掲出する動きも見られるという。

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