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緊急事態宣言解除で米政府が突きつけられる課題 移民問題や財政の健全化に向き合う時が来た

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額に手を当てるバイデン大統領
新型コロナ対応は一段落したものの、バイデン大統領は難しい舵取りを迫られる(写真:Getty Images)

米政府は、新型コロナウイルスの流行に関わる公衆衛生緊急事態宣言を5月11日に解除した。マスクの着用が一般的でなくなるなど、日常生活ではアフターコロナへの移行が着々と進んでいたが、解除に前後して起こった政策面での変化は劇的だ。

医療保険と移民制度への課題

好例が医療保険制度だ。国民皆保険制度を持つ日本と異なり、米国の公的な医療保険は、低所得者向けのメディケイドと、高齢者向けのメディケアに限られている。対象外となる国民は、勤務先の企業などを通じて民間医療保険に加入する仕組みだ。しかし、零細企業などは医療保険を提供していない場合もあり、無保険者の解消が課題になってきた。

緊急事態宣言の発動を受けて、米国はメディケイドの加入要件を緩和した。2020年3月に可決された法律では、従来であれば対象から外れるような所得の増加があっても、メディケイドへの加入を継続できる措置が導入された。22年初めには無保険者の比率がこれまでで最低の8%にまで低下し、コロナ禍の医療を支えてきた。

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