中国経済の回復が鈍い中、地方政府の債務問題はいよいよ危険な水域に入ってきた。

中国の地方財政が深刻さを増す背景には、問題を地方に丸投げする中央政府の姿勢がある(写真:ロイター/アフロ)
ようやく景気回復が本格化するかに見えた中国経済だが、今年4月期の工業生産額は前月比で5カ月ぶりに減少するなど、その足取りは力強さを欠いたままだ。経済の先行きが不透明さを増す中、地方財政が抱えるリスクへの懸念が改めて高まっている。
有力経済誌『財新周刊』4月24日号の社論は、新型コロナ禍による深刻な経済影響、不動産の価格下落、各種税の減免などによって地方政府の財政規律が緩み、債務問題が深刻化していることに警鐘を鳴らした。
また同誌5月22日号の特集記事「融資平台による起債ブーム」は、これまでも地方政府の「隠れ債務」の温床となってきた融資平台(地方政府の資金調達機関)が、「城投債」と呼ばれる債券の発行を通じて債務を拡大させ、地方財政のリスクを高めている実態を指摘している。同記事は、2022年末の地方政府の隠れ債務の残高が52兆元から58兆元に達しており、正規の債務残高の1.5倍から1.7倍になるというシンクタンクの推計を紹介している。
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら