日本人が知らない「超近代的」マレーシア鉄道事情 複線電化が進展、新型特急電車が都市間を結ぶ
最近、東南アジアの鉄道界が注目を浴びつつある。ラオスが中国と鉄道で繋がったことを筆頭に、タイでは北海道を走っていた特急車両による観光列車が運行。そして、日本製中古電車が走るインドネシアでは高速鉄道の開業が近づいている。このようにASEAN諸国でさまざまな鉄道の話題が賑わう中、東南アジアの真ん中に位置するマレーシアの鉄道事情はあまり注目されることがないようだ。
一昔前、アジアを目指すバックパッカーの間で「マレー鉄道でタイからシンガポールを目指そう」といった声がよく聞かれた。だが、目下のマレーシアの鉄道はその頃とは大きく状況が変わっている。
新型の特急電車が快走
タイ、マレーシア、シンガポールをはじめ、東南アジアを走る在来線鉄道は基本的に軌間1mのメーターゲージだ。
マレーシアの鉄道事業は、基本的にマレーシア鉄道公社(KTMB)が運営している。開業はイギリス植民地時代の1885年で、現在の総延長は1641kmに及ぶ。今もいたるところに英領時代の面影が見られるが、代表的なのは首都クアラルンプールの中心地にあるクアラルンプール駅と、それに隣接する鉄道公社本社社屋だ。どちらもマレーシアの人口の7割弱を占めるイスラム教徒(ムスリム)の文化を色濃く残す。
現在の鉄道ハブは、クアラルンプール駅から1kmほど西のKLセントラル(Sentral)駅だ。通勤電車「KTMコミューター」のほか、電車特急の「ETS」(エレクトリック・トレイン・サービスの頭文字)が発着する一大ターミナルとなっている。電化は首都圏近郊で1995年から始まり、その後区間を延伸。2010年には電化区間の延伸によってETSが登場した。東南アジアの鉄道の中でもとくに近代化が進んでいるといえるだろう。
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