「総合型選抜(AO入試)対策」をどう指導する?教員が知りたい推薦状とエッセイ 海外大や難関大合格目指す推薦状の書き方とは

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「このような推薦状を書くためには、授業や部活動で教員と生徒が普段からまめにコミュニケーションを取っている必要があります。なお、米国の高校は4年制なので日本の学生よりも長い準備期間がありますし、カウンセラーも存在します。入学当初からカウンセラーを通じて、後に教員から推薦状を書いてもらうようしっかりと伝えられています。ですから、日本の学生は入試直前の3年生になってから意識してもなかなかうまくいきません。

日本でも、教員と生徒がコミュニケーションを取って主体的な学びを引き起こすインタラクティブな授業が増えれば、教員は授業を通してその生徒についてより深く知ることができるでしょう」

一方で、推薦状の内容は生徒の合否を左右するため、書く内容が思いつかない生徒に頼まれた際にはキッパリと断ることも大切だ。

エッセイのカギは、挑戦する自分の物語をつづること

米国の総合型選抜でもう1つ重要なのが、エッセイだ。テーマは大学によって異なるが、情熱を注いでいるもの、特技、スキル、挑戦にまつわる内容が多く、生徒が歩んできたストーリーが見られる。

内容としては例えば、以下のようなものがある。

●「あなたのしたチャレンジは何ですか? どう克服し何を学びましたか?」
●「あなたはどんなリスクを取りましたか、何にチャレンジしましたか?」
●「常識的なことについて『これは違うんじゃないか』と思ったことはありますか? それに対してどのようなアプローチを取りましたか?」
●「思いかげずハッピーになったことや、ほかの人に感謝されたことがありますか? それは何だったか覚えていますか?」

 

「エッセイを書くためには、自分自身を振り返ることが必要です。自分の人生を思い返し、自分がどんな人物か、今どんな場所に立っているのかを考え、物語としてつづるのです。これも、入試直前の準備では間に合いませんから、高校入学時から準備をしていくべきです」

エッセイには正解があるわけではない。大切なのは、大学側に自分という人間をわかってもらうことだ。日頃からいろいろな視点に立ち、常識にとらわれない考え方を持つことが重要だが、そのような機会として、米国ではディスカッションが頻繁に行われる。

「米国では小学校から、授業でディスカッションをします。自分以外の意見を聞いて考えることで、さまざまな視点を持つことができるのです。また米国の高校の授業では、新入生のサポートや、ゴミ問題や環境保全などのコミュニティー活動の中で、リーダーシップを養う機会も豊富です。これらを通して、エッセイに書けるような体験を積んでいくのです」

いつもと異なる視点に立つと見えてくる「自分の未来」

とはいえ、日本の学生が米国の学生と同じ経験をするのはなかなか難しい。しかし山脇氏によると、日常的な指導の中でも明日から取り入れられることはたくさんあるという。

まずやるべきことは“自分を知ること”。そのために山脇氏はマインドマッピングという手法を使い、生徒に時が経つのを忘れるほど没頭できる活動を探させる。そこに、アイデアを創出するためのオリジナル授業を掛け合わせるという。

(画像:山脇氏の著書『15歳からの人生戦略』から抜粋)
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