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高まる利下げ期待、米中銀は年内にどう動くのか 絡み合う「銀行不安」「雇用統計」「債務上限問題」

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旬なテーマについて、さまざまな角度から論者が語る。アメリカの金利動向をめぐる、エコノミストたちの「異見」とは。

シリコンバレー銀破綻後も、3月と5月のFOMCでは2回連続の利上げが決まった。アメリカの政策金利動向を見るうえでは、複雑な要因を読み解かなければならない(写真:Bloomberg)

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米国の中央銀行である連邦準備制度(Fed)は、5月2~3日に行った連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、25ベーシスポイントの追加利上げを決定した。米国の政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートは5.00~5.25%となり、ドットチャートと呼ばれるFOMCメンバーが予想する水準の中央値に達した。

この先の最大の焦点は、利上げは終わるのか、そして利下げはいつ始まるかだ。

シリコンバレー銀行の破綻を機にした金融システムの不安が収まらない一方、労働市場の需給がタイトな状況は続いており、経済情勢をめぐる要因は複雑に絡み合っている。アメリカの債務上限をめぐり、アメリカ国債のデフォルト(債務不履行)リスクも浮上している。

アメリカの金利動向はどのように読めばいい?

FOMCの見通しとは裏腹に、金融市場はすでに段階的な利下げを織り込み始めた(図参照)。エコノミストの間でも、利上げ停止や利下げの開始時期などで見方は大きく分かれる。アメリカの金利動向をどのように読めばいいのか。

シティグループ証券の相羽勝彦氏、SMBC日興証券の丸山義正氏、大和証券の末廣徹氏の3人に、見解と今後見通しを聞いた。

シティグループ証券 エコノミスト 相羽勝彦

経済の減速は不十分、年内に利上げはまだ2回ある

Fedは引き続き、6月と7月に開催されるFOMCで、それぞれ25ベーシスポイントの利上げを行うと予想する。5月3日に終了したFOMCの声明文は、利上げサイクルの終盤にきていることをうかがわせるものの、6月の利上げ停止まで示唆していると考えるのは早計だろう。

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