「中国こそが最も正しく平和的」という認識を植え付ける工作が進行中だ。
本年3月、習近平国家主席がロシアを訪問して発表した中ロ共同声明は、日本ではさほど注目されなかったが衝撃的だった。中国が国際政治上、米国などの西側陣営とたもとを分かち、ロシアと共に歩む意向を明示したからだ。
米国側を「覇権主義」として敵視
共同声明が描く世界は、私たちの常識とは白黒が反転していた。声明は「国際構造が重大な調整を迎えている」と判断し、「覇権主義、一国主義、保護主義がなおも蔓延している。公認された国際法の原則や規範を、『ルールに基づく秩序』に置き換えることは受け入れられない」と主張した。つまり、「ルールに基づく秩序」を唱えるのは「覇権主義」であり、中ロ両国のほうが「公認された国際法の原則や規範」を守っているというのだ。加えて北大西洋条約機構(NATO)に、他国の主権や安全保障を守れと要求した。
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