佐治信忠・サントリーホールディングス社長--自粛モードを続けても日本経済は活性化しない
キリンHDとはけんか別れしたわけではない
──でも、国内勢で考えるなら、お相手はキリンHDなのでは。
そうかもしれない。別にけんか別れしたわけではないので、否定はしない。とはいえ、統合相手をキリンHDに限ったわけではない。
そもそも経営統合が必要だと考えるいちばんの理由は、世界で戦っていくための経営基盤を構築するためだ。今のサントリーはグローバルになり切れていない。利益率の低さもそうだが、売上高も3兆円はいかないといけないだろう。
--サントリーの筆頭株主・寿不動産ですが、今後の経営統合を考えるうえでネックになりませんか。
経営の透明性という点で問題はない。キリンHDとの件が破談になったのは、何も寿不動産から反対があったわけではない。私自身の意思だ。絶大な株主が存在する中で、リーディングカンパニーになることを考えていた。大株主がいて経営統合会社を動かしていくのが、いちばんいいとの考えは今も変わらない。
キリンHDには最終的に受け入れていただけなかったが、しばらくそれでやったら、良さがわかるはず。次回のお相手とは、先方の気持ちを考慮に入れながら交渉したい。
──海外事業への評価は。
まだまだ満足していない。海外での展開はソフトドリンクのみだが、お酒のビジネスは付加価値の面から見て捨てたもんじゃない。健康食品も伸ばしたい。この三本柱が重要。現在、海外比率は売上高で20%、利益で3分の1だ。将来、総売上高で3兆円、営業利益率10%超を達成するときには、海外売上高を3割強に引き上げたい。