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東レ、「繊維の営業一筋」新社長が試される手腕 13年ぶりのトップ交代。大矢新社長に直撃

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おおや・みつお/1956年生まれ、千葉県出身。1980年慶応義塾大学法学部卒、東レ入社。2016年専務取締役繊維事業本部長などを経て2020年6月代表取締役副社長執行役員(撮影:尾形文繁)
大手素材メーカー・東レの社長が13年ぶりに交代する。6月末の株主総会後に新社長に就く大矢光雄副社長は、繊維事業の営業一筋で実績を挙げてきた。
優良企業で知られた東レだが、2023年3月期の事業利益は前年度比24.3%減となる1000億円の見通しで、中期経営計画の最終年度目標の1800億円を大幅な未達となる。収益力をどう浮上させるのか、考えを聞いた。

 

――3月27日の社長交代発表会見では、全社的に営業力、マーケティング力を高めていく考えを示しました。

競争が激化している。さまざまな事業領域に海外企業や新興企業が次々と入ってきている。その結果、(各事業領域で)売上高が上位20に入っていたような会社でも5年で脱落するケースが増えてきた。圧倒的に良いと思える素材をつくっても、それだけで価値を保てる年月は短くなってきている。では、どうすればいいか。研究開発や生産の安定性、コスト競争力はこれからも大事だが、グローバルな営業のオペレーション力の重要性が増していく。

顧客に価値ある提案をしていく

――つまり売る力が重要、と。どうやってそれを高めますか。

販売数量と価格差(利ザヤ)が落ちて収益力に響いている。数量を増やしていく、あるいは適切なプライシングをする必要があり、そのためには顧客とWin-Winにならなければいけない。大事なのは、先端素材の新しい商品を開発するだけではなく、顧客に価値ある提案ができるかどうか。

ーー具体的にはどういう提案でしょう。

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