「経営を欧米向けにわかりやすく。おかしな話だ」 インタビュー前編/東レ社長 日覺昭廣
――最近の新聞で東レは、業績低迷で投資家や株主のプレッシャーに耐えられなくなり、ガバナンス改革の波に屈して取締役体制を変えざるを得なくなったと、書かれていました。
それは間違いだ。業績に結び付けるのは完全に余計だよね。
景気回復のこちら(コロナ影響からの立ち直りが鈍い側)に航空機やアパレルなどの主要な事業を持っているから一時的に下がってしまっているだけ。また回復するわけだから。業績と取締役体制の変更(2020年6月に社外取締役を全体の3分の1に増やした)は一切、関係がない。
――日本では、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、委員会設置会社と機関設計が3つも林立しています。
経営の実態を分析もせず、仕組みばかりたくさん作るというのはいかがなものか。容れ物先行では、物事は解決しない。すべての仕組みに一長一短がある。
それぞれ何が問題なのか、何が欠けているのか。それを解決するにはどう運用するのがいいのか。現場から考えれば答えは出る。(当局や専門家などの)経営現場の経験のない人が考えて解決するほど(経営は)甘くはない。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け