機関投資家に背中を押され社外取を3分の1にした東レ社長の胸の内は…。
東レの社長、日覺昭廣は2020年、年金などを運用する機関投資家たちからの言葉を聞いて考え込んだ。
「社外取締役が3分の1未満では、日覺社長といえども取締役の再任案に反対せざるをえない」
東レといえば、いつまでも繊維だけには頼れないと、長い時間をかけて炭素繊維や水処理膜事業を育てている企業。現場の声を重視し、長期的な視点で投資戦略を進める「日本型経営」の代表格だ。
そのため組織も「日本型」だった。社外取締役は2人いたものの、それ以外の取締役17人はすべて社内取締役。これで成功してきたのだから、「何も変える必要はない」と日覺は思っていた。
しかし、機関投資家がそこまで言うなら仕方がない。「まあ、変えてもいいか。社外取締役を3分の1にしたところで不都合なことなんて何もない」(日覺、以下同)と取締役の刷新を決めた。
というのも、日覺には考えがあった。「執行役員制度」の導入だ。
まず、社内取締役を繊維、研究、生産技術など各分野から最低限必要な8人に絞った。そこから逆算して、社外取締役を全体の3分の1になるよう4人に増やした。
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