コーポレートガバナンス・コードの改訂で、社外取締役不足が顕著に。

イラスト:髙栁浩太郎
昨年秋のこと、IT系企業の社外取締役を数社兼任している男性は、パソコンの前に座り、メールを眺めていた。いくつかの用件を処理した後、1通のメールを見てつぶやいた。
「また来たか。3日前に別の企業のを断ったばかりなのだが……」
そのメールは、ベンチャー企業からで、今年6月から社外取締役に就任してほしいというもの。親しくしているIT企業から紹介されメールしたという。
男性は、ある大手企業の役員を務めた後に引退、今は3社の社外取締役に加えて数社の顧問も務めている。
男性は、「確かに引退して時間はあるが、そんなに多くの会社の状況を把握したり、経営をチェックしたりするのは能力的に無理」と語り、「時期によって多いときには週に1回くらい依頼されるが、そのほとんどを断っている。どうしてもという場合は顧問かアドバイザーで我慢してもらっている」と明かす。
「3分の1規定」で不足
下図をご覧いただきたい。これは、日本取締役協会が「上場企業のコーポレート・ガバナンス調査」でまとめた、社外取締役と独立社外取締役の人数の推移だ。
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