東京証券取引所の市場改革が間近に迫る。上場企業にとってインパクトは甚大で、対応できなければその先には地獄が待っている。
Part1 時間切れ間近!タイムリミットまであとわずか
東証1部脱落の恐怖
3月23日、文具大手のキングジムでは、社長以下、役員19人が出席して取締役会が開かれていた。
席上、原田伸一取締役常務執行役員がこう提案した。
「弊社はプライム市場への移行を目指している。すでに35%以上という流通株式比率はクリアできているが、さらに向上させるためにも自己株を消却したい」
この時点でキングジムの自己株比率は12%。それを自己株消却によってさらに3.08ポイント引き下げたいと提案したのだ。
なぜか。詳しくは後の記事で解説するが、東京証券取引所が2022年から市場区分の変更を柱とする市場改革を行う予定だ。東証1部に代わる存在となる「プライム市場」に残るためには、市場で売買される株式の比率である流通株式比率を35%以上まで引き上げる必要があるのだ。
キングジムは市場改革を見越し、数年前から議論をスタート。すでに基準はクリアしていたが、「中長期的にプライム市場での上場を維持していくため、さらに流通株式比率を高めていきたい」(宮本彰社長)と考えたわけだ。キングジムでは併せて政策保有株も縮減していく方針だ。
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