企業不祥事の裏には必ずガバナンスの形骸化がある。

(Syda Productions / PIXTA)
「2番と4番は否決、これで総会を終わります」
6月25日午後0時42分。東芝の株主総会は、綱川智社長がそう宣言し、あっさりと閉会した。事前の議決権行使で結果がある程度見えていたのか、挙手を求めはしたが、しっかりと票を数えた様子ではなかった。
「2番と4番って誰だっけ」。東京・高田馬場の会場に居合わせた183人の株主は互いに顔を見合わせた。招集通知書を改めて開くと、そこには「2番永山治、4番小林伸行」とあった。「取締役会議長と監査委員が否決されたぞ。東芝はいったいどうなるんだ」。会場に激震が走った瞬間だった。
だがそれでは終わらず、余震は続く。その日の夜、社外取締役に選ばれたばかりのジョージ・オルコット氏が辞任したからだ。
併せて、本来、社外取締役が就くはずの取締役会議長を、綱川社長が例外的に兼任することも発表された。東芝は「あくまでも暫定的であり、今後、綱川氏の後任選びを進める」としたが、会社提案の社外取締役2人が否決された影響の大きさを物語っていた。
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