コロナ禍によって生命保険各社の経営環境や商品は激変した。
コロナ患者への総額1兆円近い保険金支払いを迫られている生保。足元のインフレで車両修理費などのコストが急速に膨らむ損保。『週刊東洋経済』4月10日(月)発売号では「保険動乱」として、経営環境が厳しさを増し、保険金の不正請求問題も直撃する両業界の実情に迫った。(この記事は本特集内にも掲載しています)
3年半近くに及んだコロナ禍は保険業界を激変させた。とくに大きなインパクトとなったのが2022年に入ってからのオミクロン株の流行だ。ウイルスの変異によって感染力が高まった一方で、ワクチン接種などの効果もあって重症化リスクが減退し、無症状や軽症の陽性者が急増した。
政府は新型コロナの感染症法上の分類を新型インフルエンザ等感染症とし、感染者に対しては基本的に入院勧告や就業制限といった措置を取るよう、全国の保健所などに促していた。そのためオミクロン株流行期は、医療機関が軽症者であふれかえる事態が起きてしまった。
みなし入院の支払い急増
そこで厚生労働省は22年1月下旬、事務連絡を発出。自治体の判断で、本人が提示する簡易検査の結果を用いて医師が新型コロナと診断できるようにした。これにより宿泊施設や自宅で安静・療養を行う、いわゆる「みなし入院」が一段と増加した。
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