イオンによる子会社化はパルコのブランド価値を希薄化する--平野パルコ社長


--今回、イオンから提案が来た遠因には、パルコと筆頭株主である森トラストとの関係が変化したことがありそうです

2001年の出資以来、森トラストにはお世話になっているので、感謝している。ただ、これまで事業シナジーがなかった。昨年1月に先方から増資の話があったが、先方の経営計画の実現のために当社を連結化してバランスシートを膨らませたいという理由がメインだった。子会社化によって、当社の事業がどう広がるかと聞くと、明快な回答がない。相手のためだけに会社を供することはできないという判断だった。

一方で、当社は新しい中計が固まって、資金がこれくらい必要だと、それをどう調達するか検討していた。いろいろな条件を設けて、日本政策投資銀行(以下、DBJ)には利益が上がれば転換されることで飲んでいただけたので、これは当社の成長プランに資するものだと。そういう2本の流れがあった。

だから、たまたま森さんの言うことに難しいといいながら、DBJとの話は進めたので、先方が快く思わなかった。そのプロセスにおいてコミュニケーションが十分できていたのか、後から見てみれば不備があったかもしれないので、その点に関しては森さんにお詫び申し上げたい。ただ、中計は自信を持って進めているし、それが具体化しつつある。ひとつひとつを実現して、株主に価値を返すしかない。

--5月の株主総会に向けた、パルコとしての対策は

株主提案は受けたので、指名委員会で社外を中心に自信をもって株主に提案できる、社内の役員編成案を作る。総会議案の確定が4月下旬なので、そこに向けて私たちの考えを先方に伝える。一方で、いろんなステークホルダーに自分たちの考え方を伝えていきたい。

企業業績がかなり毀損すれば経営責任だが、そういうわけではない。だから、今までの実績だとか、中計の国内外の開発が具体的に進捗していることを伝えていこうと思っている。パルコをやってきた経験に基づいて新たな事業拡大をしようという信頼性と、都市部の商業をやったことのないイオンが経営に入ってきて、郊外はどうですかというのと、どちらがステークホルダーにとってプラスか、というのがポイント。一部の株主の都合だけで会社が動かされていくというのは、皆さんにとって不安材料だと思う。勝算うんぬんではなく、自信を持ってやっていく。

■ひらの・ひでかず 1958年6月生まれ(52歳)。81年入社、02年執行役員、08年から現職。

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