20年かけて赤字を脱出するまでの道のり、現地人材育成や商品発注、物流体制など今後の成長戦略をユニクロ欧州CEOが語った。
――欧州ユニクロを立て直すにあたり、ポイントは何でしたか。
欧州ではユニクロの知名度がまだ高くないうえ、人件費などのコストも日本より高い。普通にやっていたら儲からない体質だった。欧州で勝っていくためには、まずユニクロを認知してもらってファンを増やすことが必要。そのために、各国・各都市の一等地に出店し、売り上げを最大化することに専念した。
(地代家賃などが比較的高い)一等地に出店するものの、コスト低減にも努めている。とくに店舗内装の考え方が従来とは変わった。今までは、白を基調とするシンプルな「ザ・ユニクロ」のような売り場作りをしていたが、今度は欧州の歴史的な建築の特徴を生かして「欧州の文化にユニクロをどう融合させるか」ということに軸足を置いて設計や建築を進めている。
店舗では、販売のほか、服の修繕サービス「RE.UNIQLO STUDIO(リ・ユニクロスタジオ)」に力を入れている。
服を長持ちさせるためのサービスを提供して、サステイナビリティに対する会社としての考え方を売り場で表現するためだ。サステイナビリティは事業の根幹。欧州のお客様が企業を選ぶポイントになっている。
ファッション感度が高い客が増えた
こうした取り組みの結果、この3~4年は「ユニクロに来店するお客様の質の変化」を目の当たりにした。いい意味で、服やファッションに対する感度の高い人の比率が増えている。
お客様やローカル社員の声、メディアの反応を見ても、日本よりアパレルブランドとしての立ち位置が高い。そうすると高額な商品が売れるようになるし、値引きも減る。つまり客単価が上がっていることが、欧州事業の業績に大きくかかわっている。
――一方で、欧州の客層を拡大するために、郊外への出店や価格帯を下げるといった可能性はないですか。
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