ユニクロ、「政府要請とは無関係」賃上げの真意 世界標準の報酬で国内外の人材交流も容易に
ユニクロなどを運営するファーストリテイリングは3月から国内従業員の報酬を引き上げる。日本独自の「役職手当」も廃止。国をまたいだ人材交流などがしやすい機動性の高い組織にする。
「報酬改定は成長戦略の一環として準備してきた。よって政府の賃上げ要請などとは無関係だ」
初任給が30万円に、年収は最大で40%増――。世間をにぎわせた「大幅賃上げ」について、ファーストリテイリングの広報担当者は東洋経済にそう話した。
ユニクロを展開するファストリは1月11日、3月から従業員報酬を改定すると発表。国内のファストリ本社やユニクロなどグループ企業の従業員を対象に、報酬テーブルの給与を数%~最大40%引き上げる。
報酬の上昇幅は個人の成果や成長意欲によって異なり、ベースアップのような一律賃上げではない。「『実力主義』の再徹底により、国内ユニクロの収益性を上げたいのでは」(大手企業の人事責任者)。
国内ユニクロの底上げを図りたい
「世界水準の仕事をお願いするなら、母国市場である日本の報酬も世界水準にしなければならない」
ファストリの岡﨑健CFO(最高財務責任者)は1月12日の決算会見で改定の狙いをそう語った。今回の発表におけるポイントの1つが、「給与水準を大幅に引き上げる」こと。
例として、新入社員の初任給を25万5000円から30万円に、入社1~2年目で就任する新人店長は月収29万円から39万円にアップなどが挙げられた。これらは、いずれも賞与を含まない基本給だ。その他の従業員も、年収で数%~40%の範囲で引き上げる。
正社員の賃上げに先駆け、昨年9月にはパート・アルバイトの時給アップも実施。これらを合わせて日本の人件費は前年比で15%増加。増加分は「生産性の向上」によって吸収するという。
背景には、成熟した日本市場をどう伸ばすかという問題意識が垣間見える。この10年間、日本のユニクロは800店前後で横ばい、売上高も8000億円台から大きく伸びていない。小売関係者は、「国内事業は稼げる中核人材を増やしたいはずだ」と指摘する。
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