五輪の汚職疑惑について「私が主導した」と語ったAOKI創業者。2022年末には半年前に就任した社長が突如辞任し、社内の混乱は続いている。
「初売りスーツやコートが全品半額」「開店前にお並びの方に先着で70%オフクーポン進呈」
あるスーツ店の新春初売りチラシには、正月ならではの大特価セールの数々が並んでいた。ワイシャツやネクタイの福袋もあれば、人気商品の「パジャマスーツ」もお値打ち価格で売り出している。
精力的な初売りセールで新年のスタートを切ったAOKI ホールディングス。同社にとって、去る2022年は試練の年だった。東京五輪・パラリンピックのスポンサー契約をめぐり、大会組織委員会元理事との間で、スーツの半額ならぬ「スポンサー料の半額」などの汚職疑惑が明るみに出たためだ。
2023年を迎えてもなお、試練は終わりそうにない。汚職事件の裁判が続き、さらに2022年末には半年前に就任したばかりのHD社長が突如辞任。社内は今も混乱の渦中にある。
「協賛金を半額に」「やりましょう」
2022年12月22日、AOKI創業者で前会長の青木拡憲氏、その弟で前副会長の青木寶久氏、元専務執行役員の上田雄久氏の3被告は東京地裁の法廷に立っていた。五輪のスポンサー選びなどにおいて有利な取り計らいを受けるため、大会組織委の高橋治之・元理事に金銭を渡したとして、贈賄の罪を問う裁判の初公判である。
裁判の冒頭、3人はいずれも「間違いありません」と起訴内容を認めた。一方、元理事がその職務に関して賄賂を受け取ると罪に問われる「みなし公務員」だと認識していたかについては、3人ともに「組織委員会の理事だという認識はあったが、みなし公務員だとは知らなかった」と否定した。
約4時間にわたる初公判で公にされたのは、創業者主導で行われた元理事との生々しいやりとり、そしてあまりに密な関係性だった。
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