SHEIN「1日新商品6000点」実現する供給網の秘訣 中国・広州周辺の中小工場で集中生産する強み

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世界で注目を集める中国発EC「SHEIN(シーイン)」。独自取材からその実像に迫る3回連載。1回目は中国協力工場への取材を通じて独自供給網の秘訣に迫る。

シーインの協力工場の内部。中国の中小工場が独自の供給網を支えている(工場関係者提供)

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中国発のファッションEC(ネット通販)「SHEIN(シーイン)」が、世界中のZ世代からの支持を得て、急速に存在感を増している。Tシャツなら数百円台という超低価格と、1日6000点もの新商品を投入するという膨大な商品量が武器だ。
その一方で情報開示は限定的、サプライチェーン(商品の供給網)や販売戦略は謎に包まれている。商品の「盗用」疑惑も根強く、海外で訴訟も相次いでいる。
そんなシーインの実像に迫る3回連載。1回目は中国の協力工場への取材を基に、独自サプライチェーンの秘訣を明らかにする。

Tシャツは数百円台、ブラウスやスカートは1000円台で手に入り、高くても2000円台後半。アクセサリー類に至っては数十円台のものも多い。「金銭的な余裕はそれほどないけれど、流行のファッションを気軽に楽しみたい」。シーインがターゲットにするのは、主にそうした10代~20代前半の若者だ。

中国・南京で2008年に創業したシーインは、実店舗は構えず、オンラインで消費者に直接販売するD2C(Direct to Consumer)企業だ。もともとはウェディングドレスの海外販売事業からスタートしたが、現在では女性用ウェアを中心に、男性用や子供服、靴、カバン、アクセサリーなどの幅広いファッションアイテムを取り扱う。

本国である中国での販売はしておらず、そのため業界関係者ら一部を除けば中国国内での知名度は皆無だ。現在は世界150カ国以上で展開しており、とくにアメリカのZ世代の間では2020年ごろから人気に火が付いた。アメリカでのアプリのダウンロード数は2021年にアマゾンを抜くなど、ショッピングアプリとしてはつねに上位に位置している。

直近売上高は「ユニクロ」にも肉薄か

未上場であるシーインの企業評価額は、ピークだった1000億ドル(約13兆円)からは低下したものの、現在でも650億~850億ドル(約8.5兆~11兆円)程度だとされる。ZARAの運営会社であるインディテックスの時価総額約950億ドルや、ユニクロを展開するファーストリテイリングの同650億ドルなど、先行するファストファッション界の巨人と肩を並べる水準だ。

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